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2024年10月21日号 (第520)
今年の年末調整は定額減税に要注意!
みなさん、こんにちは。国税庁が「令和6年分 年末調整のしかた」を公表しました。早いもので、年末調整の準備が必要な季節になりました。
さて今回は、令和6年分の年末調整の注意点をご紹介していきます。
源泉徴収簿だけでは完結しない令和6年の年末調整
令和6年は、定額減税が4月施行の税制改正で導入された影響で、昨年の終わりに配布された「令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿」のみを利用して年末調整計算をしてしまうと、定額減税の計算が行われないため、誤った計算結果になってしまいます。従業員数が少ない会社などでは、ベテランの経理担当者が源泉徴収簿を利用して年末調整を行っているケースがありがちですので、気を付ける必要があります。
「令和6年分 年末調整のしかた」は、下記をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2024/01.htm
定額減税の対応方法
具体的に定額減税に対応した年末調整を行うには、定額減税に対応した年末調整ソフトを利用するのが最も合理的なのですが、手計算で年末調整を行う事例も多くあります。手計算で年末調整を行う場合には「令和7年分給与所得者に対する源泉徴収簿」の裏面に記載されている「令和6年分年末調整計算表」を用いるか、国税庁がホームページで公表している「年末調整計算シート(令和6年版)」を利用するのが便利です。
国税庁の下記サイトでダウンロードが可能です。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/nencho_keisan/index.htm
源泉徴収簿はPDF版ですが、年末調整計算シートはエクセルのファイルとなっており、黄色い部分に数字を入れていくと自動で年末調整ができてしまいます。年末調整の計算を行うだけなら、このシートがあれば計算できてしまいますので、エクセルが使える人の場合にはお勧めです。
年末調整用のソフトは必要なのか?
国税庁の年末調整計算シートがあると、年末調整の計算自体はほぼ完結します。では、一定規模以上の会社の場合、計算シートがあれば年末調整用のソフトは不要になるかというと、年末調整用のソフトがある方が格段に便利です。実務の流れから考えると、年末調整の結果を受けて源泉徴収票の作成、各市町村への給与支払報告書の作成、法定調書の合計表の作成など、年末調整について計算をして終わるだけではなく、計算後の業務があるからです。
さらに給与支払報告書は、従業員の住所地の自治体へ送付する必要があるため、従業員数が多い場合、手作業で送付するには従業員数に比例して手間が増えます。年末調整用のソフトの多くは、電子申告システムと連動して使える仕様となっています。年末調整用のソフトを利用することで、年末調整の計算そのものだけでなく、従業員へ交付するための源泉徴収票の印刷、自治体への給与支払報告書の送信、法定調書の作成送信と言った一連の流れの業務の負担が軽くなります。
年末調整後は、年末調整だけでなく法定調書の作成や償却資産の申告など、同じ時期に業務が集中するので、可能な限り合理化できる仕組みを検討してみましょう。
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